子ども・家庭福祉の明日に向けた宣言 わが国は、急速に進行する少子化の中で、「家庭における養育機能の低下」をキーワードとする家庭内養育不全の状況が進行しております。とりわけ、近年の家庭内虐待やD・Vの急速な顕在化は、社会的養護を必要とする子どもたちの急増と、その子どもたちの発達課題の重篤化につながっています。そのため児童養護施設では、満床状態に加え重い心的課題を抱えて個別的、治療的ケアを要する子どもたちが増加し、その養育に混迷、混乱が生じているのが現状です。 こうした中、児童養護施設内における子どもへの体罰や不適切な関わりなど重大な権利侵害事件が発生しており、極めて残念と言わざるを得ません。 児童養護施設は、いつの時代も社会でもっとも弱い立場にある子どもたちの権利を守り、子どもたちの安心、安全の拠点であり続けなければなりません。 しかし、今日の社会的養護のシステムは、戦後の孤児対策としての「収容保護パラダイム」を枠組みとした「制度」と「養育」のままにあるといっても過言ではありません。 今日の重い発達課題を抱える子どもたちの回復と、その『子どもの最善の利益』を実現するためには、子どもの発達権保障を基軸とする制度、施策の実現が急務な課題であります。 第60回全国児童養護施設長研究協議会記念大会を迎え、わたしたち児童養護施設関係者は、真に子どもの権利擁護と自立支援を旨とし、すべての子どもたちの『最善の利益』の実現に向けてその活動に取り組むべく次のとおり宣言します。 一.わたしたちは、いかなる理由があろうと、体罰や不適切な関わりによる一切の子どもへの権利侵害を否定し、すべての子どもの権利擁護と自立支援に努めます。 一.わたしたちは、これまで培ってきた養育のあり方を検証するとともに、自らの専門性、援助技術の向上に努め、『子どもの最善の利益』の保障に資するとともに、培った養育機能を地域社会の子育て支援・虐待防止に活かし、すべての子どもたちの健やかな発達に貢献します。 一.わたしたちは、子どもが国の未来であるとの視点と、国家百年の大計に立って「子どもの発達権保障を明確に捉えた子ども家庭福祉制度」の確立をめざし、子ども家庭福祉機関、組織と連携協力し、その実現に取り組みます。 平成18年11月22日 第60回全国児童養護施設長研究協議会 全国児童養護施設協議会 |