144 平成13年8月20日発行

●第三者評価基準(中間報告)を公表へ

 社会福祉基礎構造改革に伴う社会福祉事業法の改正(現「社会福祉法」)等を踏まえ、厚生労働省では、昨年9月、児童福祉施設等評価基準検討委員会を設置し、事業者及び利用者以外の第三者による児童福祉施設等の評価のための基準の検討を行っています。今般、7月30日に第5回目の委員会が開催され、第三者評価基準試案の中間報告がほぼまとまり、近く公表されることになりました。
 以下、これまでの経緯等をご報告いたします。

◆第三者評価の必要性とこれまでの経緯

 昨年6月、社会福祉基礎構造改革に伴う社会福祉法が施行・公布されました。同法では、福祉サービスの利用者の利益の保護を図るために、福祉サービスに関する情報の提供、利用の援助及び苦情の解決等に関する規定が整備されています。このうち、福祉サービスの質の向上(社会福祉法第78条)については、「福祉サービスの利用が、行政の行う措置制度から利用者が選択する利用制度を基本とすることに伴い、福祉サービスの質の確保についても、行政が委託契約を通じ画一的にサービスの質を確保する考え方から、社会福祉事業の経営者が最低基準を遵守した上で、その提供する福祉サービスの質の一層の向上に自主的に取り組むことを促すという考え方」を基本とし、このため、「社会福祉事業の経営者に対し、自らが提供するサービスの質の自己評価その他の措置を講ずることにより福祉サービスの質の確保・向上に努めなければならない義務を規定」することとされました。また、「国は、福祉サービスの質の評価に関する基準の作成、第三者評価機関の育成等の必要な措置を講ずることにより社会福祉事業の経営者の取り組みを支援するよう努めなければならない」こととされました。
 厚生労働省雇用均等・児童家庭局では、社会福祉法の施行による児童福祉(児童養護施設を含む)のサービスの質の公正かつ適切な評価のため、昨年9月、「児童福祉施設等評価基準検討委員会」を設置、本会からは福島会長が委員として出席しています。以来、同委員会は5回開催され、このなかで、児童養護施設のほか、乳児院、母子生活支援施設、保育所の4施設種別を対象とした第三者評価基準について検討してきました。7月30日の第5回目の委員会では、児童福祉施設における福祉サービスの第三者評価基準試案、関係団体からの意見、児童福祉施設第三者評価基準試行事業の実施方法、検討委員会の今後の検討事項及び論点に関する資料等が提示され、検討が行われました。このうち「第三者評価基準試案」については、第4回(6月29日)の委員会ではじめて公表されたもので、本会では、各協議員にこの「試案」を配布し、意見を集約、委員会に提出しています。

◆「第三者評価基準等に対する意見」の概要

全国児童養護施設協議会
○共通事項
社会・援護局が作成した「一階部分」評価基準は、用語がわかりにくく、しかも、児童養護施設の実態と異なるものが多い。無理に社会・援護局の基準を移植するのではなく、趣旨を活かし施設種別の実態に合わせた基準を作成すべき。
「AでありBであり、しかもCとともにDとなっている。」というような判断基準ではなく、「『・Aである』『・Bである』『・Cである』『・Dである』」と基準を分け、「a:以下の項目の内3つ以上を実施」としたほうが評価しやすい。
ただ、上記の場合、A、B、C、Dそれぞれの項目の重みが同じであり、Aが仮に必要不可欠な項目であるとすると、Aが実施できていなくても、それ以外の、B、C、Dの3項目が実施できていれば、評価が「a」になってしまう。このため、項目によってある程度重み付けをする必要がある。
幼児のみの施設、小学生までの施設等児童の年齢が限定されている場合、答えられない項目(該当しない項目)がある。同様に、小舎制の施設等の場合答えられない項目がある。このように、施設の状況によっては、答えられない項目(該当しない項目)があり、その場合の、評価の仕方について検討する必要がある。
○個別事項
「福祉サービス(自立支援)の基本方針と組織」等について、児童養護施設におけるサービスの基本理念が、「自立支援」のみとの誤解を受ける。「福祉サービス(自立支援)」となっている部分のそれぞれについて、「(自立支援)」を削除したほうがよい。
宗教行事の参加の強制について人権侵害との指摘があるが、「思想・良心・信教の自由」について評価項目がなくてよいか。
福祉サービス提供(自立支援)過程の確立については、評価項目が細分化されすぎているばかりでなく、用語が分かりにくく、改めて整理すべき。
心理的な援助の項目について、判断基準となる文章の意味が分かりにくい。
「福祉サービスの独自性」あるいは「福祉サービスの向上性」について、設問が新たに設置されているが、これについては、a、b、cで評価するものではなく、自由記述とすべき。
「地域の福祉ニーズへの対応」としてあげられた、「地域や関係機関等の福祉ニーズを把握するための取り組みを行い、それに基づき新たな事業展開を図っている。」ことはまさに施設独自の項目であり、具体的に記述させるべき。
上記「地域の福祉ニーズへの対応」を言う前に、既に制度化されている各種事業の実施の有無を評価基準に入れるべきではないか。
○その他
第三者評価、自己評価、利用者評価、それぞれの評価を有機的に組み合わせ、サービスの質の向上につながるようにしていく必要がある。単に第三者評価結果の公表が施設のランクづけになり、不利益を生じることになれば、施設におけるサービス評価への取り組み、さらにはサービスの質の向上への意欲を損ないかねない。
児童福祉施設サービス評価調査者の養成研修について、児童養護施設に係る「評価基準の理解と判断」の研修時間がわずか1.5時間のみである。施設の現状等に精通した調査者の選抜はもとより、専門的・客観的に評価するため、研修の一層の充実が必要である。

◆今後の予定と全養協の課題

 第三者評価基準は、次のように一階部分と二階部分で構成されています。二階部分(児童養護施設の独自な評価項目)については、昨年3月に本会が協力し全社協が作成した「児童養護施設サービス自主評価基準」をベースに作成したものです。
 「児童福祉施設における福祉サービスの第三者評価基準」については、第5回委員会の意見をもとに修正し、8月中旬を目途に中間報告として公表される予定です。また、次回の委員会は、児童福祉施設第三者評価基準試行事業の取りまとめ状況をみながら開催することとなっています。

●一階部分
サービス内容と関係の薄い経営管理的事項については、社会・援護局が公表した社会福祉施設全般の試案を基礎とし検討する。

●二階部分
入所施設等に対するサービス内容に関わる事項を中心に、保育所用、児童養護施設用、母子生活支援施設用、乳児院用などを作成。

 なお、この「試行事業」は、「第三者評価基準」(試案)の妥当性及び評価の方法等について検証を行うために実施するもので、児童養護施設については、17都道府県各1施設で、9月1日10月31日の期間実施されます。「試行事業」実施にあたり、評価調査者の養成研修が社団法人全国保育士養成協議会主催で8月27、28日(東京会場)、8月30、31日(大阪会場)にて開催されます。参加者は、保養協が指名した各地区のチーフ(学識経験者)と児童福祉関係者で、各都道府県、指定都市、中核市3名の参加となっています。
 本会では、この「第三者評価基準」(試案)についての意見を集約するとともに、試行事業の結果等についても検証するなど、今後、施設サービスの質の向上に資するよう必要な取り組みを行ってまいります。


第54回全養研協・山形大会研究部会報告
 昨年の第54回大会は、「児童養護施設新世紀への胎動」を総主題に、「子どもの権利擁護サービスの拠点として」をサブテーマに山形市を会場に開催されました。2日目の研究部会は7つの部会に分かれ活発な研究協議が行われました。それらの議論を継承しつつ、さらに一層充実した協議が今年の大会でなされるよう、昨年度の各部会報告を以下に掲載します。


●第1研究部会 子どもの権利擁護サービスのあり方
 社会福祉法の施行を受けて

発題者 高橋久雄 至誠学園/東京都
発題者 芝 明宏 尼崎学園/兵庫県
幹 事 高瀬美武 三愛学園/埼玉県
座 長 青木 浩 若草園/高知県
助言者 高橋重宏 日本社会事業大学教授

 施設長2名の発題のもとに、質疑・グループ討議・助言により、研究討議をすすめた。
〈論点1〉子どもの権利擁護サービスの方法
(サービス評価、苦情解決、情報開示)
・いずれも、職員の共通理解と施設内における論議・検討の過程が重要である。
・「権利ノート」「第三者委員(会)のメンバー」「情報開示の具体的内容」等について討議された。
『助言1』
 今回の全養研協の総テーマとサブテーマについて、確認しておく必要がある。「子どもの権利擁護」は、新世紀の重要な鍵である。「21世紀は子どもの権利擁護の拠点として、どう児童養護施設を作っていくか」ということであり、そのための共通理解が課題である。
 従来の観念は、「児童=守られる存在」即ち、成熟した大人が最善の利益を図るという縦の関係であったが、現代においては「子ども=権利行使の主体」即ち、横の関係へと180度転換している。子どもの人権・権利の問題に、戦後、先駆的に取り組んできた全養協(1968年松島氏を中心とした「児童福祉は恩恵か権利か」「人権集会」「人権侵害の実態調査」等々)は、21世紀への継承が大事である。
 今回の法改正と、それに伴うサービス方法の確立が外圧による感がするが、内発的に作り上げていくことが重要である。また、元職員による告発が頻発しているが、これは施設が社会に通用しないことを平然と行っていた証左でもある。
 困難な子どもの入所が増加し、「職員の燃えつき症候群」も問題になっているが、今までのノウハウでは解決できないことを認識する必要がある。子どもの権利擁護の仕組みをどう作っていくかを、やむなくではなく、積極的に推進していかなければならない。そのためには施設長の意識・積極性・あり方が問われている。
〈論点2〉子どもの権利擁護サービスの課題
・自立援助の領域では、果たすべき義務・責任についても考えていく必要がある。
・施設内のルールの策定・生活全体の中で、児童の参加・意見表明・苦情解決システム等が確保されるべきである。
・児童の日常生活を安心と信頼に満ちたものとし、さらに心のケアを図ることが子どもの権利を守ることであり、そのためには職員増配置が不可欠である。
・施設の自己点検・自己評価、及び職員の人権意識(体罰に対して、権利行使の主体としての意義等)と評価(課題と達成度)も必要である。
『助言2』
 権利行使の主体としての権利擁護をどう考えるか、という理解の共有が出発であろう。
 各地・各組織で作られている「権利ノート」の内容には、差異がある。カナダでは「権利と責任」が法的にも明確であり、子どもと職員の共通理解が出来ているが、日本にはない。
 施設長には懲戒権があるが、どのようなときにどのように活用するのかをより具体的に論議する必要がある。
 体罰については、その程度や範囲ではなくて、「体罰が何故、どのような場合に起きたのか」の分析と、現在の児童に対する「新しい処遇理論と処遇技術」が必要とされている。苦情解決の仕組みについては、早急に立上げていくことが必要だが、形骸化してはならない。 (高瀬美武)


●第2研究部会 子どもの権利擁護と施設の運営管理
 施設における諸問題から学ぶもの

発題者 新田目 健 恩寵園/千葉県
発題者 藤野興一 鳥取こども学園/鳥取県
幹 事 堀田 保 くるみ学園/北海道
座 長 安川 実 聖霊愛児園/石川県
助言者 森  望 大分大学助教授

1.部会討議内容

 子どもの権利擁護を施設の中でどう具現化するか。日常的に子どものケアをするのは職員だが、具体的な指針がないと権利擁護が浸透していかないのではないか。これからは施設運営について、施設の援助の内容について自己点検、危機管理体制が必要ではないかということで論議がされた。
 施設の運営について、職員も施設長も、入所児童の多くが抱えている情緒的・精神的な障害を前にして自立支援に向けてどういう養護が可能なのか、非常に不安を抱えている状況にあるとの多くの意見がある。
*助言者から

1)発題に対して

施設長の持っている人権感覚の鋭さとリーダーシップが基本的に重要である。
施設長が、日常的に子どもたちへの関わりに、職員にスーパーバイズ出来る力量が必要である。
職員集団がオープンにとことん話し合える施設であることが職員のモチベーションが上がる。子どもたちに対しても同じで、意見表明権を実質化していくために、子どもの意見を言える力をつけなければならない、そのために子どもの意見をきちんと受け止めることが大事である。
新田目園長の発題にある性善説とは、言葉を言い換えれば自立支援ということになる。児童福祉法が改正され基本理念が変わった。根本的に子供観が変わった。権利条約が日本で批准され、それを踏まえて児童福祉法が改正され、指導から支援に変わったことに大きな意味がある。子どもたちを一人の人格主体として認めるということが児童福祉法の改正にはっきり述べられている。
  子どもに必要な情報を与え、考えさせて、意見を聞いて選ばせていく、その過程が、児童福祉法の考え方の根底にあったはずである。
  子どもに対しては性善説であるべきだが、大人に対しては性悪説を取りたい。施設においては危機管理体制というか、システム、制度は必要である。

2)討議テーマに関して

権利条約批准以降、社会の考え方、子ども観が変わったことの意味を施設のプログラムにどう生かしていくか、施設長が中心となって考えていくことが必要である。理念のない改革は簡単についえてしまうものである。
施設の運営管理の問題について
  職員の間で徹底して話し合いが出来るような、自由に職員がものを言えて、改善提案が出来るあるいはいやだと言える雰囲気作りが必要。
  地域に対しても、ボランティアを入れていくなど地域に開いていくことが必要。ボランティアは無料の品質管理、モニターの役割を果たしてくれる。
  退所した子どもたちを退所後もいろんな形で支えていくと同時に、退所した子どもたちがある場面では入所している子どもたちの代弁機能を果たしてくれる。
研修について
  愛だけでは十分ではない、具体的な援助場面でのいろんな技術が必要であり、そういった意味での研修のあり方は不十分である。
虐待防止法が成立して
  社会福祉の仕事をしていくうえで、不十分なところは子どもの代弁者となって社会に向かって発言していく、情報を発信していく、そういった役割を我々は持っていることをもう一度思い起こしたい。当事者である子どもたちが発言する力が弱い以上、それを代弁する役割というのは、子どもたちとともに生活している職員であり、施設長であり、他にはないんだと思う。

3)まとめ

 子ども達を信頼すること、子ども達の持っている力を信頼すること、職員集団の持っている力を信頼すること。子ども達と職員の間、職員と施設長あるいは理事者の間を縦から横に変える、お互いに自由に闊達にものが言える雰囲気、さらに、施設と地域の風通しを良くしていく施設運営をしていくということが結果的には子どもの権利擁護につながっていくと考える。
 とても難しい課題を持った子ども達が増えてきている。それぞれが体罰の温床になり、職員のバーンアウト、あるいは職員が怪我をする、子ども達同士のいじめ、暴力、という明らかに児童養護施設の役割とか機能の限界を超えていると考える。
  この状況について、児童養護施設だけで問題を抱えないで、地域の精神科医、児童相談所、いろいろな専門家のネットワークを活用して解決を図っていこうという意見もあったが、絶対的な資源の不足も事実である。とすれば専門的な施設が必要だということになるのではないか。児童養護施設は生活の専門家であるが、生活の専門家だけでは解決できない専門性が、今の子ども達を援助していくためには必要となってくる。これを果たしていくためには児童養護施設として、全養協として、県養協として、さらには一つ一つの施設として全国に対して、あるいは地域社会に対してソーシャルアクションというのが必要となってきているのではないか。子どもの権利擁護ということを掲げる以上施設長というのは子どもの代弁者である。職員の代弁者でもなければならない。積極的な情報発信が必要であり、施設長の役割である。
  最後の砦である児童養護施設に全て押しつけて、今の地域社会のいろいろな問題は全てフタをしてきたのが50年間の日本の戦後社会の歴史であった。そういうことをきちんと、家庭に暮らしていけない子どもがどういう状況に置かれているのか、職員がどれだけ苦労しているのか、ということを施設長が先頭に立って情報発信していくことが必要である。
 児童養護施設にとってリスクマネージメントが非常に大事になっている。これは文字通りの危機管理である。施設長が先頭になって、職員が、今苦労して体罰とかが無いように努力をしていると思う。しかし、体罰は無いにしても、やむを得ない事故は起こる。あるいは子ども同士のイジメにより怪我をする、性的なトラブルもありえる。あるいは虐待を受けた子どもの親が強制的に引取にくるということがあった場合、どういった対応をするのかといったリスクマネージメント、不幸にして起きた場合に、子どもに対して動揺を抑える、保護者に対してどう説明するのか。施設としてまだ十分地域社会に理解されていないところがあるとすれば、そこを突かれる。
  きちんとした情報を適切に伝えるにはどうすればよいか。十分理解されていないところがあれば、理解されるよう情報を伝える努力をする必要がある。各県各県の地元新聞などに、こちらから積極的に働きかけて見てもらうなどの努力が必要。そういう意味のリスクマネージメントが今求められている。
 児童の分野に在宅サービスがなぜ無いのか。子ども達が施設に入るまでの前にもっと何か出来なかったか。要保護という子ども達のところにホームヘルパーが行くとか、配食サービスがあるとか、ショートステイ、トワイライトステイがもっとあれば、施設に入る前のところで止められたはず、虐待も同じである。
  施設の運営を適切化していくという観点からも、社会として子育てをしていく、子育ても社会化していくのは間違いない。子育て支援が充実していくのは間違いない。その方向に向けて児童養護施設としても、子ども達と、地域の家庭を守る代弁者として、情報発信をされたい。

(堀田 保)


●第3研究部会 児童虐待への児童養護施設の取り組み課題児童虐待防止法への対応

発題者 藤澤 昇 みちのくみどり学園/岩手県
発題者 上薗昭二郎 知覧児童学園/鹿児島県
幹 事 上栗哲男 広島新生学園/広島県
座 長 側垣一也 三光塾/兵庫県
助言者 柏女霊峰 淑徳大学教授

 今社会的に最も関心のあるテーマである被虐待、児童相談所をはじめ行政や大学の関係者も含み約百人の参加を得て開かれた。
 鹿児島知覧児童学園の上薗氏と、岩手みちのくみどり学園の藤澤氏の意見発表後、兵庫三光塾側垣氏の司会で質疑応答が行われた。フロアーから直接処遇者と心理職のバランスについて、上薗氏はバランスを取るためにも3年間直接処遇の経験をして心理職としている。またトラウマを持った子どもの受け止め方について、藤澤氏は子どもたちの集団(自治会)を作り二次的な開放に結び付けて解決に結び付けて解決の力を養っていると応答した。また職員配置基準の低さ、児童相談所との連携、施設内でのスーパービジョンについて等意見が交わされた。

柏女淑徳大学教授の助言

 二人の発題について、日常をキチンとすることが児童養護施設では重要であることが再確認された。そしてそのことを基本に子ども一人ひとりを大切にすること、子どもの力を借りて行う大切さをよく理解しANT(アビューズ・ネットワーク・チーム)のような組織を拡大して行くことが重要であることを再確認させられた。
 児童虐待に対する課題とその克服に向けて段階的に考察する。(1)発見、通告段階では啓発活動の強化予防教育の徹底児童虐待の緊急度や介入の必要性等の基準の設定緊急対応が可能な援助体制を整備する。(2)介入段階では適正手続きの確保地域ネットワークの形成機関連携のあり方に関するノウハウの蓄積接近困難な事例へのソーシャルワークの蓄積接近困難な事例へのソーシャルワークに関する知識・経験・技術を集積すること。(3)保護・援助段階ではネットワークミーティングの活用具体的な援助計画の策定被虐待児童および保護者に対する心理的、社会的ケア、家庭環境調整を行う体制を作ること。(4)相談援助の基盤整備では現在の相談援助体制の再構築児童相談専門職の資質、量の向上である。
 このように児童ソーシャルワーカーは大きな困難を感じ疲弊している、専門職としてその職務を全うできるよう制度的支援が図られなければならない、と同時にワーカー自身も技術をさらに磨いていかなければならないのではないか。

バスセッション(午後)

 10グループに別れてのバスセッションでは、人員増の必要性、心理職の常勤化、ネットワークの重要性、ファミリーケースワーカーの配置、ADHD(注意欠陥性多動性障害)児に対する処遇の困難さ、専門性(養成校)も含めての問題、最近虐待が増加したのではなく潜在化していたものを拾い上げている現状、被虐待児の処遇上のトラブル対応のマニアル化の必要性等が発表された。

柏女教授のまとめ

 虐待は複合問題であり、因果律がないので効果的な取組みを行われなければならない。例えばネットワークミーティングのような良いケースを実践例として集めていく時期にきている。現状、課題を分類して、技術上、運営上、制度上の課題を整理していく必要がある。そして1施設だけでなく多くの社会資源(医師、臨床心理士、弁護士等)を借りて社会的養護の体制を再構築していく必要があるのではないか。
 終日大変熱心に研究討議された。アメリカは1974年(昭和49年)に「児童虐待防止法」が成立した。それにより120年前に「動物虐待防止法」が成立していて、アメリカ市民は、「人間も動物なみに扱われるようになったのか」と嘆いた。第3部会は、我々のパートナーは人間の子どもなのだ、虐待はあってはならないこと、被虐待児に全叡智を結集しなければならない、と強く感じさせられた部会であった。

(上栗哲男)


●第4研究部会 自立支援の課題と方法

発題者 星 美帆 自立援助ホーム星の家/栃木県
発題者 大久保文直 大洋学園/岩手県
幹 事 渡辺作次 北光社ふくじゅ園/北海道
座 長 喜多一憲 名古屋文化キンダーホルト/愛知県
助言者 千葉智正 弘前学院大学教授

発題 日々子どもたちとの関わりから

自立援助ホーム星の家 星 美帆

毎日、自分のことが整理できない。施設では全てのことを他人がやっている。
  自分も役割当番でやっているから、自分のこともその中にふくまれる。それに対して「ありがとう」といわれても、その意味がよくわからない。
  他人のやっているのは役割・当番なのだから、特に感謝の気持ちを持たない。
  きまり、ルールのある中で生活してきたので、それ以外のことはしない。他人から言われると、自分との関係がなければしない
ホームにいる児童の成長は他人(保育士)から言われたり、きまりだからやるというのでは変容しない。
  他人からやってもらっている子どもは、人に何かやってあげることが足りない、人に何かやってあげたら喜んでくれることに気がつくように。
自立援助ホームは必要経費年間約1,000万円(定員6名)。そのうち国及び県250万円。会員寄付バザー700万円。職員の給与は、施設職員の三分の二程度、夫は別の仕事をし、主婦が担当者。しかし、夜間は夫婦でやっている。
  このようなセンターは限界があり、今後、ボランティア的な運営では長続きさせるのは困難である。もし、夫婦の一方が病気にでもなれば即、支障がでる。

発題 大洋学園 大久保文直

施設では集団が優先しがちなので、いっそう個別化が必要。退所時点で自立できないままの子が居る。高校卒業時点でも社会体験の少なさが見られ、社会的自立に不安をかかえている。
  幼児期小学校中学時代まで、フィードバックの考え方も必要ではないか。中学生時点での入所では変えようがない面がある。
  自分が、施設でどう変わって行こうかとの認識を持たせる。アセスメントの大切さ、自立援助計画、幼、小、中の経過をはっきりつかむ。
10年以上施設で暮らした子と、中学生段階で入所した子とは、ある程度区別させなければならない。自立援助計画は、年齢を横並びにしてやるのではなく、
  1、現在の状況を把握する。
  2、プロセス援助計画・家族もふくめて評価する。
  3、結果を評価する。

質疑応答・意見交換
大阪府でも自立支援ホーム設立のニーズが大きくなっている。しかし、それがなかなか実現できない。
夫婦が子どもを受け入れて始める。大変な思いでいる。全養協では、本気で自立支援ホームを大きく取り上げる気があるのか。全養協が大きく声を上げることが必要。

助言 弘前学院大学 千葉智正

 養護施設で育った子は自立の力に欠けている。
子どもたちの課題を残したまま年齢の関係から卒園させている。社会的基盤ができていないから失敗する。

 自立支援計画の策定と実践上の課題は、
 職員の専門性(ケアのプログラム)。
 退所計画(措置理由の解決)と自立計画、児相対応。
 チームケアの確立(関係機関との連携をとりながら)。
である。
 このうち知的障害児には進路面に対し困難性があるので、自立にあいまいさがでている。自立その人らしく生きていけるように取り組む必要性がある。
 自立支援計画を立てるうえで、入所時の課題を子どももしっかりと認識させて取り組む、面会、外出、外泊等、保護者との関係をよくしていく。
・アフターケアと自立援助ホームとの連携。
 自立援助ホームは養護施設のアフターケアの延長というイメージが強い。どういう形でアフターケアをしたらよいか。退所児を自立援助、ホームかインケアかの問題がある。自立援助ホームは、就職失敗、失業等の子どもも含めひとつのクッションとして位置づけたらどうか。アフターケアの考えの中には、高校・専門学校等18才までいっぱいを活用するためにもなっている。しかし、それでも自立できない子もいる。いずれにしても、高年齢児対策を早急に施行していかなければ、養護施設の施設ケアの効果は上がらない。

(渡辺作次)


●第5研究部会 地域福祉に果たす児童養護施設の役割

発題者 藤本勝彦 和泉幼児院/大阪府
発題者 大橋正男 臨海学園/茨城県
幹 事 森田 勲 島添の丘/沖縄県
座 長 濱田多衛子 光の園白菊寮/大分県
助言者 瀧口桂子 東海大学教授

1.質疑応答

(1)職員の負担も大きいがどう意識づけし、どう地域への関わりをもたせるか。
  ○会議など日常的な啓蒙活動や施設開放などを通して職員の意識改革を図る。
(2)乳児院と児童養護施設を合築し、ショートステイを行いたい。
  ○建築については補助金で、ショートステイについては保育所等との役割分担が課題。
(3)ネットワークづくりのポイント。
  ○地域の関係機関や関係者への積極的な働きかけがポイントである。
(4)地域支援の障害となっているもの。
  ○児童養護施設のもつイメージが正確に伝わっていないところがある。
  ○幼少中やPTAとの連携、地域が利用できる施設であることを理解させることが大切である。
(5)児童相談所との役割分担と連携も重要である。

2.全体討議の概要

児童家庭支援センターの課題
(1)ソーシャルワーカーへのスーパーバイザーの確保が課題である。
(2)24時間体制には限度があり2名の常勤と心理職の配置が必要である。
(3)児童虐待等の問題の情報収集と支援活動の進め方。
(4)経費については法人から立て替えている現状であり、運営上の課題である。
(5)児童養護施設とのケア内容の違いがあり、全ての支援センターが取り組めるような基準作りが求められる。
(6)積極的に地域に関わると共に、地域資源としての有力な人材の活用が必要である
  ○在宅サービス、生活環境の改善、地域における組織的活動の推進等。

※「助言」 東海大学 教授 瀧口桂子

午前のまとめと午後のバズへの方向づけ
1. 児童虐待防止ネットワークは機能しているか?
虐待で一時保護された児童を強引に連れ戻して、虐待死させたニュースがあった。強引な引き取りにどう対応し、セーフティネットをどう活用するか考えることが大切である。
2. 乳児院と児童養護施設が一体化施設が望ましい。
3. 地域支援のキーパーソンの役割が果たせる施設職員が求められている。
4. 6対1と言う厳しい人的条件で職員の負担も大きいが地域支援活動は重要である。
5. 入所児童の権利擁護と地域支援のための地域ニーズ把握が重要課題である。
※バスセッションの報告概要(午後のグループ討議)
1. 地域福祉における児童養護施設の果たす役割は、地域の子育て支援であり、地域の行事や協議会等に積極的に参加し、施設への理解を深め偏見をなくすことも大切である。
2. 施設職員の意識改革と資質向上と地域の人的資源の発掘活用が不可欠である。
3. 地域福祉は制度的にも不十分で施設職員の負担も大きいが必要としている人がいれば支援しなければならない。全施設が取り組めるような基準作りを望みたい。
4. 子どものプライバシーを守ることにも留意し、地域に施設を開放する。
5. 大都市や地方など地域による違いもあり、それぞれ特色ある交流や支援活動があってよい。
6.地域と密接に関わっている児童養護施設ではショートステイなど月に100件を越え、電話相談も24時間体制で子育て支援に応じているとの事例もある。
7. 市の事業として「子育て支援センター」を児童養護施設の中で実施し、電話相談、来所相談、ショートステイなど多くの利用がある。利用者のための講座の開設や職員のトレーニングも積極的に行っている施設でもある。
8. 児童養護施設における地域支援活動の事例
  都市家庭在宅支援事業、入園前体験保育、グラウンド開放、地域行事や子ども会への積極的参加、施設内でのそろばん教室や英会話教室への地域の子ども達の参加、盆踊りや餅つき大会への地域の参加。
9. 児童虐待防止ネットワークとしての「子育て支援協議会」を施設内で年に4回開催して成果をあげている施設もあるが児童虐待防止ネットワークがさらに機能し、児童虐待等の歯止めにならなければならない。
10. 地域支援の輪を広げる上で都道府県や市町村の福祉関係機関や関係者との緊密な連携は不可欠である。

※まとめと助言 東海大学 教授 瀧口桂子

1. 発題者の報告、実際取り組んでいる施設の報告
  地域子育て支援養育能力の低下、混乱、子育て不安の問題
 ・児童養護施設は地域に存在しており、子育てのプロでありノウハウを蓄積しているので養護施設の機能を活用していくべき
 ・幅広い年齢の子どもに対応している実績がある
 ・子どものケア、親の支援が大切
2. 児童家庭支援センターの位置付けが曖昧
  職員配置の問題(資質、研修、配置、職種等)…厳しい条件でやっていくのが難しい
3. ネットワーク
  施設や機関の相互理解が重要、役割分担をどうしていくか
 虐待防止センターの設置
  児童相談所が十分に対応できない保護者のケアをセンターがしていく
4. 今後
 施設長の能力と各職員の同意のもとで地域福祉の事業を展開していくこと。虐待が多くなっている中、虐待を未然に防ぐ策としての実践が必要である。

(森田 勲)


●第6研究部会 新たな児童養護サービスの展開
  ―地域化・小規模化への道―

発題者 菅原哲男 光の子どもの家/埼玉県
発題者 武藤素明 二葉学園/東京都
幹 事 真壁良雄 聖母愛児園/新潟県
座 長 奥田 治 精華学院/三重県
助言者 高橋利一 日本社会事業大学教授

 発題者から園創設当時の劣悪な環境で養育して来た志の時代、先人の発想がすでに小規模化をめざしていた事、熱の入った内容が55名の意気の入った討議になる。また昨年の広島大会の討議を念頭におき、何故地域化・小規模化なのか、運営面からマイナスはあるが子どもはいきいきした姿、家庭的、個性豊かに成長、情緒が安定、地域の一人として溶け込む等のプラス面もある。子どもあっての施設という共通土台に立っての話し合いになった。
 地域化・小規模化は施設がまるごと出てサテライト化する、そのことにより子どもが地域で家庭の子として育っていく、契約制度の中でどこまで地域という支援者を得るかにかかっている。フロアの中で小規模化することが地域化なのか、管理面で問題が生じやすいのでは等と考えを述べられた。また本体施設では子どもは生活させられている、小規模施設は生活をつくっていく、そこに大差を感じる。職員の確保・難しい住込み・勤務調整・教育・専門性の養成等課題が残るという。また集団という形態で生活した方が良いことはないのかとの意見もあった。発題者らがそれらに答えてそしてまずやってみよう、ソーシャルアクションを起こそう、施設問題だけでなく全国民的なこと、自分達が制度化し開拓実践したい、小舎制養育研究会の内容を詳しく知りたい、小舎制とグループホームは同一線上にあるのか等の質問があった。小舎制とは施設を小規模化した家屋、子ども支援センター的なもので不登校、短期入所の子ども対象。グループホームは長期入所予定者が地域に分散し、通常の生活をする家といえる。中舎制も話に載るが取り方の違いからかかみ合わないものがあった。
 各テーブルよりグループホームについて活発に討議される。そのよさは子どもと職員の信頼関係が密になり、職員が個人のケースをよく見ることができ、子どもが生き生きしたことが本園にも影響されよい方向にある。金銭の管理が上手になり、各自の分担の自覚、食事の時間、休日にくつろいだのびのびとした過ごし方をしている等の意見があった。一方、職員の質、価値観に左右される良い面・悪い面、子ども同志、子どもと職員のグルーピング、問題行動のある子どもの密室・個別化の弊害、同年齢だけの集まりは厭だという声、独占空間はあるが淋しい等々が挙げられた。制度について、借地でなく園所有にしないと発展性がないのではないか。国は今後このケースを増していくのか。場について、地域化とは本当は何なのか、外に出せばいいだけなのか。建物構造は子どものためのノウハウが入っているのか。一般家庭は一人時代なのに6名は多いのではないか。人について、誰がグループホームをするのか。本園のサポートも必要だが、児相との連携、サポートなしではただ送り込まれるのではないか。食について、ホームは外部調理委託に反対、子どもはにおいをかいで成長する、労働力やお金の問題でない。大舎制は人や時間、外部にした方が無理がきくので賛成という意見もあった。これらについて各先生方からお答え頂いた。
 助言者より、国は借地借屋を認めている。小規模施設の正式定義はないが名称もグループホームに落ちつくのではないか。契約は単年度で措置費内で。児相はホームの○○さんにみて欲しいとイメージされている。本園のサポートを受け地域の特色生かし住宅活用。6名は一人が把握できる人数。その責任者は施設長。運営は人の問題でその人柄が大きく左右する。福祉の主体は誰れなのか、行政をあてにすることなく実践しよう。運営のための新しいガイドブックを作るべき、職員は孤立することなく連携し研鑽したい。最後に里親制度について体制を強化し養育里親を開拓し、条件を整備して他人が他人を育てるという意識作りをし、多くのことをプラス評価に変えていくことが出来るとしめられた。 

(真壁良雄)


●第7研究部会 児童養護21世紀へのパラダイム
 近未来像パートU策定に向けて

発題者 桑原教修 舞鶴学園/京都府
発題者 花崎みさを 野の花の家/千葉県
発題者 伊達直利 旭児童ホーム/神奈川県
発題者 加賀美尤祥 山梨立正光生園/山梨県
幹 事 菅原 昭 旭が丘学園/宮城県
助言者 古川孝順 東洋大学教授

4人の発題者については、それぞれのテーマで話していただいた。
 はじめに伊達氏より、社会的に90年代以降、児童福祉・社会福祉等全般にわたる法改正が行なわれ、児童養護の在り方を問い直していることを踏まえて、地域小規模施設を主体にお話しいただいた。次は花崎氏より児童養護を主体に社会的養護を構成する里親制度について、3番目は加賀美氏より、児童養護と乳幼児ホーム構想、児童養護のあり方を考えその周辺・関連する直接の施設との関係をどう考えていくか、4番目は桑原氏より、地域支援活動内容・今後どう広げていくか、最後に加賀美氏より再び、児童虐待をめぐる課題を通じて児童養護施設を見直す必要性を考えた。
質問・意見等の要点は次のとおりである。
 児童養護施設の社会的養護体系に関わる事項。
 乳幼児ホーム構想・小規模施設等の課題を含めた方向性。
 児童養護施設の機能と役割。
 職員の質の向上・労働問題に関わる事項。等々
 これらのことについて発題者との意見の交換が行なわれ、現実の問題をふまえた将来に向けての論議の必要性を含めた会場との話し合いと、発題者の考えと実践状況が補足的に発表される。
 意見の交換については時間の都合もあり未消化の感じもあるが、この部会の目的でもある、近未来像パートについての、これまでの小委員会における論議をふまえて、古川氏が検討項目骨子(案)により今後の方向性についてコメントした。
古川孝順教授コメント
 5年前作成公開した、近未来像パートについて、戦後50年画期的なものでその後の社会福祉に影響を及ぼしたと評価。しかし内容についての論議は体系図そのものの議論だけになってしまった。これは空中戦的なものであり、554ある施設の方向性、地に足のついたレベルの問題を解決しないといけないとし、単にパートを具体化する議論ではないとした。
 どこに改革の可能性があるのか、21世紀の展望は困難であり、3年5年の見直しのアイデア・具体化の方向で考えたい。それらは4人の今日発題された方々の内容からも理解できると思うとした。
 この5年間にも色々な変化があった。少子高齢化に伴い利用者(こども)の減少が見られたが、虐待問題の急浮上・親子の役割をうまく取っていけないということが根底にあって、都市部での利用が増加傾向にある。ただし長期的には減少すると見る必要がある。
 また、基礎構造改革が進められサービス提供のなかで、介護保険・保育所等に利用者本位の仕組みといいつつ市場原理の導入、企業の参画が認められる方向が示されている。第一種の施設にもその方向が広がり高齢者から障害と進み、こどもの領域が、どこまで持ちこたえられるか。
 そこで、骨子案(3)の
に利用者主体の子育て・子育ちを入れてあるが、保育の世界で一般化されており意図的に入れた。これは親子を一体的に考え支援をしていこうということで、虐待等の親についても自分なりの子育てで、たまたま不適切な営みをしてしまった親にもどう援助していくかということを考える主旨。
に利用者主体の子育ち支援。自立を支援、これは外側から育てていくという観点からではなく本人が育っていくのを助けるという視点をもつ必要。ケアの連続性・一貫性も含めて施設の体系・トリートメントの在り方についても考える。
に統合的児童養護サービス。施設の中だけでなく関連領域のサービスを統合して行なう。地域の中での子育てを考える場合も統合的視点必要。
に児童養護サービスの質と量の確保。基礎構造改革の目玉、全体でいうとある種競争状態を作り上げて、利用者に選択させることによって出てくる状態を利用して質の向上を図る考え。また、第三者評価・オンブズマンの利用という考えもあるが、こどもの領域でも質の向上を図らなければならない。量の確保、社会全体でどれほどの養護サービスの準備をすればいいのか議論必要。
分権化・地域化・小規模化の問題。社会福祉の領域の中では分権化が最も遅れているのが児童養護の領域で、措置権が都道府県に残されている。地域化が促進される中でその延長線上に小規模化が出てくる。処遇面と経営面での適性規模が混同されて出てくるが整理して論議が必要である。施設経営の内・外部に対して透明性・説明責任・開示の必要性。
社会的養護体系についてはパートでは結論が出ていない。社会的養護のネットワーク、外部の諸機関も含めて、施設をベースにしながら里親との連携を模索すべきとの考えがある。
児童養護系施設との連携・機能分担については乳児・情短・自立支援施設等も視野に入れた議論も必要。
児童養護サービスの計画化。地域福祉計画の中に児童養護関係が行政・民間を通じて見えてこない。地域的施設と広域的利用施設とのふるい分けと同時に、お互いにどう連携するか等の議論が必要。
選択利用施設の可能性、これは措置制度にかかわる部分で措置制度に胡座をかいている訳にはいかない、ただし措置制度を強める部分、利用制度で良い部分と総合的に見ておく必要がある。
児童養護施設の在り方をどうするか。児童サービスが利用になじむのか、虐待の事例を通して見ると今日的には要養護性の全体がつかみきれるという視点もあるが同時に貧困・低所得階層の問題、2世代・3世代にわたる施設利用者の難しい問題、また、子育ちの環境として不適切な状況で育つこども達についても念頭におく必要がある。
児童養護施設の理念と目標。こどもをどう見るかという問題であり、小さな市民から自立する市民というとらえ方をする必要がある。施設の中での生活の結果としての社会的自立、大人になる・親になることへの支援を含め、子育ちの支援から社会的自立の支援へむかうべき。
養護施設の機能。主機能・地域的機能(地域に開くことで施設機能が高まることもある)本来的機能・生活枠・治療枠等についても議論の必要がある。
職員組織の問題。最低基準・専門性等の問題、重要な課題。説得力のない職員と子どもの比率を高めることのみでなく、戦略的に、戦術的な部分も含めて違った攻め方を考える必要がある。建物設備についても、児童の成長に貢献することもあり検討の要がある。
児童養護サービスの質的向上。外形的基準という観点から最低基準も規制緩和の対象になる可能性あり。市場原理的やり方での質の向上では限界があるが、反面利用者による選択にも耳を傾ける必要がある。サービスの評価、こどもと親の権利がありその成果を反映させるのを基本として、それぞれの施設でサービスのプロセスを作って維持することも必要だが、どういう理念を持ってどういう育て方をして、そこからどういうこどもが育っているかという評価が大事。

 近未来像の論議は、複数の選択肢があった場合どれを最優先にするのか、どれをとるのかの段階には至っていない。以上が骨子の補足説明である。

(菅原 昭)


●厚生省、児童の安全の確保について通知

 先般、大阪府内の小学校において児童の殺傷事件が発生したことに鑑み、厚生省は6月15日付で通知「児童福祉施設等における児童の安全の確保について」(雇児総発第402号平成13年6月15日厚生労働省雇用・均等児童家庭局総務課長、社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課長)を発出しました。
 本通知では、「児童福祉施設等におけるこのような事件の発生予防は言うに及ばず、万一発生した場合には迅速かつ的確な対応が重要であり、施設等においては、日頃から職員の協力体制等を確保することが重要」とし、また、「児童が安全な環境のなかで安心して育っていくことができるよう、施設も参加した地域のコミュニティーづくりを推進し、このような事件の発生予防につなげていく」ことの必要性を強調しています。
 さらに、通知では、危機管理の観点から現状を点検し、問題点を把握するため点検項目(下記「児童福祉施設(入所型)における点検項目」参照)を示し、児童の安全の確保の一層の充実を求めています。
 また、これまで児童養護施設においては、地域に開かれた施設づくりを推進しているところですが、「地域に開かれた施設づくりは、危険に関する情報の収集や緊急時の支援にもつながることから、徒に施設開放に消極的にならないように留意」し、「地域のボランティア、保護者、関係団体との協力も得つつ、地域と一体となって児童の安全確保に努める」こと、「児童福祉施設等の児童の安全の確保については、都道府県、市町村と各施設等が一体となって対策を検討する」こと、「点検項目については、標準的なガイドラインとして策定したものであり、実施にあたっては、地域や施設の実情に応じて適宜追加・修正して差し支えない」ことが示されています。

【資料】児童福祉施設(入所型)における点検項目

1.日常の安全管理
 (職員の共通理解と施設内体制)
安全確保に関し、職員会議等で取り上げるなど、職員の共通理解を図っているか。
来訪者用の入口・受付を明示し、外部からの人の出入りを確認しているか。
来訪者の予定について、朝会などで職員間に情報提供し、対応する職員に確認をしているか。
万一の場合の避難場所や保護者・関係機関等への連絡方法を職員に周知しているか。
防災・防犯のための避難訓練を実施しているか。
(不審者情報に係る地域や関係機関等との連携)
施設周辺等における不審者等の情報について、次のような方法により把握できる体制をとっているか。
日頃から警察などの関係機関と連携して、情報を速やかに把握できる体制をとっている。
地域の自治会、民生・児童委員や通学する学校等との間で情報を提供しあう体制をとっている。
(安全に配慮した施設開放)
施設開放に当たって、次のような措置を講じ、安全への配慮を行っているか。
施設開放時における開放部分と非開放部分との区別を明確にし、非開放部分への不審者の侵入防止のための方策を講じている。
来訪者に対して、施設開放時の安全確保等について記載したパンフレットなどを配布し、注意喚起している。
(施設設備面における安全確保)
門、囲障、外灯、窓、出入口、避難口、鍵等の状況を点検しているか。
危険な設備、場所等への囲障の設置、施錠等の状況を点検しいるか。
自動警報装置、防犯監視システム等を設置している場合は、作動状況の点検、警備会社等との連絡体制を確認しているか。
(入所児童に対する安全管理についての指導)
入所児童が犯罪や事故の被害から自分を守るため、戸外での行動に当たって遵守すべき事項について、施設は入所児童に指導しているか。
2.緊急時の安全確保
 (不審者情報がある場合の連絡等の体制)
施設周辺における不審者の情報が入った場合に、次のような措置をとる体制を整備しているか。
職員間による状況認識の一致を図り、職員体制を確立する。
警察に対しパトロールを要請する等警察と連携を図る。
緊急時の入所児童の避難方法や登下校の方法などについて、あらかじめ対応方針を定めている。
児童の安全確保のため、民生・児童委員や地域活動団体等の協力を得ている。
(不審者の立入りなど緊急時の体制)
施設内に不審者が立ち入っているなど緊急時に備え、次のような体制を整備しているか。
直ちに職員が協力体制を取り、人身事故が起きないよう事態に対応する。
不審者に対し、施設外への立ち退きを要求する。
直ちに施設長を始め、職員に情報を伝達し、児童への注意喚起、児童の安全を確保し、避難誘導等を行う。
警察や施設・事業所管課等に対し、直ちに通報する。


●施設整備国庫補助に係る追加協議を通知

 社会福祉施設整備費の14年度予算の編成については例年以上に厳しい状況であり、また、今年度補正予算の編成についても現段階で不明の状況の中、14年度に予定している事業のうち今年度に執行可能なものについて追加協議を行う通知(「平成13年度社会福祉施設等施設整備費の国庫負担(補助)に係る追加協議について」)が、平成13年7月31日社援基発第25号厚生労働省雇用均等・児童家庭局総務課長、社会・援護局福祉基盤課長、障害保健福祉部障害福祉課長、老健局計画課長連名で発出されました。
 これは、来年度の予算執行が例年になく厳しくなることが予想され、14年度以降に計画している施設の増改築等施設整備のうち、13年度に執行可能なものを前倒しで行うよう追加協議するものです。
 つきましては、来年度以降の施設整備を計画している施設におかれましては、都道府県市の所管部局と十分協議の上、必要な対応をされますようお願いいたします。

1.協議の対象となる事業
(1) 平成13年度国庫補助内示を行った施設のうち、平成14年度以降への継続事業を予定しているものについて、14年度実施予定分の一部又は全部を13年度に前倒しし、今年度の進捗率を引き上げるもの。
(2) 13年度未協議の施設であって、14年度以降に新たに計画しているもの(創設、増築、増改築)について、13年度に前倒しして整備を行うもの。
(3) 13年度未協議の施設であって、既存施設の改築、拡張、大規模修繕等の利用者の安全性の確保のために必要な整備を行うもの。
2.協議にあたっての留意事項
(1) 14年度以降への後年度負担額を軽減するため、1の(1)を優先的に対象とする。また、平成13年度未協議の施設であっては、今年度における整備の進捗率が高いものから国庫補助の対象とする。
(2) 新たに法人を創設して施設を整備する予定のもので社会福祉・医療事業団融資を予定している場合には少なくとも同事業団の融資審査の申請は終了していること。
(3) 本通知に基づく協議に係るヒアリングについては、8月下旬以降実施することとし、日程等については別途担当部局より連絡するものであること。


●雨宮財団修学助成を今年も実施します

 雨宮児童福祉財団では、今年度も修学助成を実施いたします。本修学助成は、今年で10年目であり、大学、短大、専門学校に施設から入学する児童に対し、入学金と入学支度金を助成するものです。申請書類が必要な場合、直接財団に返信用切手を同封の上お申し込みください。
 なお、助成申請の締切(11月30日消印有効)後は受付けません。期日を厳守ください。

第10回雨宮児童福祉財団 修学助成要項
財団法人 雨宮児童福祉財団
 こどもたちの無限の可能性に対し、今年度も夢をおくりたいと思います。
対  象 全国の児童福祉施設に入所している児童及び、里親のもとにいる児童で平成14年3月に高校卒業後、進学を希望し、大学・短大・専門学校に合格した者。
他の機関から、入学金の助成をうけていない者。
※入学金免除の者、入学金制度のない学校は、対象となりません。
助成内容 入学金と入学支度金を合わせて助成します。
〔第二希望校合格も可〕・返済義務なし。
申請書類 1.施設長〔里親〕申請書〔別紙1〕
2.施設長〔里親〕の児童に対する意見〔別紙2〕
3.進学希望校について第2希望まで申請のこと〔別紙3〕
4.助成申請児童の作文テーマ『希望』400字程度〔別紙4〕
5.施設のパンフレット1部
6.入学希望校の案内書(学校名・所在地・入学金の明記されている部分コピー可)
◎上記書類に申請について(資料2)を添付して提出のこと
※申請用紙は、平成13年度のものを使用のこと。
※別紙の記入については、注意事項参照のこと。
申請受付 平成13年9月1日
申請締切 平成13年11月30日当日消印有効…締切り後受付ません。
※助成申請は合否にかかわらず期限までに提出してください。
選考方法 申請書類にもとづき、当財団の選考委員会において審査をおこない合格者は決定、未発表者は、内定とする。
◎決定・内定の通知は、平成14年1月中旬の予定
それ以前に合否が、わかっている場合は必ず連絡のこと。
提出先 〒102-0076東京都千代田区五番町12 ドミール五番町1-061
 財団法人 雨宮児童福祉財団
 電話 03-5276-2421
 FAX 03-5276-2422

★お手もとに、申請書類がなくご希望の方は、返信用切手90円を同封の上お申込みください。
 問い合わせ 月金 10時16時までにお願いします。


●児童の健全育成に関する実践報告を募集します

 第26回「數納賞」を募集

 朝日生命厚生事業団では、「數納賞」を制定し、毎年、児童健全育成活動に関する実践報告を募集し、すぐれた報告に対して褒章を行っています。今年も、下記により募集することとなりました。施設における健全育成の活動をお寄せください。詳しくは「第26回『數納賞』公募要領」をご覧ください。
対  象 児童の健全育成に関し、児童養護施設等の活動の具体的実践報告。
原稿用紙と記載方法 A4版・横書き400字詰30枚程度
※原稿とは別に、報告題名、住所・氏名、年齢、職業、連絡先、電話番号を明記した用紙と報告の概要(400字詰め3枚に要約)を添付。
締  切 平成13年11月末日
提出先 (財)朝日生命厚生事業団 (担当:砂川)
 〒160-0023東京都新宿区西新宿1-9-14
  電話 03-3342-06045
受  賞 審査委員会による審査により、數納賞1編、佳作4編を選定。
入賞者には賞状と賞金(數納賞30万円、佳作5万円)を授与。


●厚生労働省人事異動
 雇用均等・児童家庭局家庭福祉課長に7月6日付で中村吉夫氏が就任されました。


●広報部会情報

中国地区児童養護施設研究協議会の報告
報告:中国ブロック 三島俊夫/安来学園
 第38回中国地区児童養護施設研究協議会は平成13年6月13日から同月15日の3日間、岡山市の「まびき会館」を会場に開催。中国5県の各施設から180人が参加し、当面する課題について研究協議を重ねた。
 第1日は開会式、中央情勢報告(福島会長)、基調講演「心を育てる生活の力」広島市児童療育指導センター医師杉山信作氏、実践発表(乳幼児ホームと児童ホーム相互乗り入れ体制の確立…広島修道院保育士岸知里・児童養護施設にぜひ看護職の配置を…俵山湯の家看護婦池藤清子・虐待K四姉弟のケースY子を中心として…聖口皇寮保育士又賀洋子・被虐待児(性的虐待)への援助と他機関との連携…鳥取こども学園希望館児童指導員山田喜美子。被虐待児の思春期を共に過ごして…悲眼院保育士加川京子)。

 第2日は、分科会でテーマは第1分科会幼児・
学童養護の現状と課題・被虐待児の支援を考える。第2分科会思春期児童養護の現状と課題・被虐待児の支援を考える。第3分科会食生活・保健衛生の現状と課題・被虐待児の支援を考える。第4分科会施設の現状と課題・21世紀の児童養護施設の進むべき道を考える。
 第3日は、全体会(分科会報告・閉会式)、記念講演「子どもの幸せを願って」学校法人ノートルダム清心学園理事長渡辺和子氏。来年度は、広島県で開催。

《内容に関する問い合わせ先》
  担当広報部員 安来学園 三島俊夫
 TEL 0854-28-8107 FAX 0854-28-6635